月刊ファイブナイン「PLC導入に対し行政訴訟を提起しよう!」、「PLC訴訟の原告募集」
DXer向けアマチュア無線月刊誌「月刊ファイブナイン」の編集長として知られる草野OM(JA1ELY)より、下記の情報(月刊ファイブナイン 11月号に掲載の記事)を頂きましたので、記事として掲載させて頂きます。
PLC導入に対し行政訴訟を提起しよう!
JA1IDY 青山貞一
武蔵工大教授、環境総合研究所長
2~30MHzの短波帯で重大な受信妨害を与える可能性があるPLC(高速電力線搬送通信)の導入に、私達アマチュア無線局や短波放送、航空無線、漁業無線、電波天文の関係者は一貫して反対してきた。しかし、総務省は専門家から出された数々の質問、疑問にまともに答えることなく、PLC研究会及び電波監理審議会の答申を受け平成18年10月4日、電波法の規定に基づき無線設備規則の一部を改正する省令を定めた。今後PLCモデムの使用が型式指定等により可能となる。
省令改正でPLCは屋内使用に限定されたものの、国から免許を受け微弱電波を受信する者にとって、PLCから著しい受信妨害を受ける可能性があることには何ら変わりない。不平衡の電力線に流される高周波は容易に輻射されるが、屋内配線距離がちょうど短波帯のアンテナ長に近いからだ。これは諸外国の具体事例からも明白である。そもそも屋内まで従前の電話線や光ケーブルによるADSL等の使用を前提とした今回の省令改正に、事業者そして消費者の双方に一体何のメリットがあるのか、費用対効果を含め甚だ疑問である。
ところで、一昨年の行政事件訴訟法の改正により新たな訴訟類型が加わった。「差し止めの訴え」及び「仮の差し止め」である。これは国など行政庁が一定の処分、又は採決をすることにより重大な損害が生ずるおそれがある場合提起できることを意味する。
従来、行政訴訟では、行政処分、採決の「取り消しの訴え」や当該処分により実際に損害を受けた者が行政相手に「損害賠償の訴え」を起こすのは可能であった。だが、新行政事件訴訟法では、一歩進んで米国のように国等を相手に「差し止めの訴え」が可能となった。私自身、法改正に伴う司法制度改革推進本部、行政事件訴訟制度検討会からの依頼で自分の考えを公述してきた経緯もある。
以前から草野編集長は総務省の対応如何では、行政訴訟も辞さないというお考えを伺ってきた。その観点からこの半年、行政訴訟に多くの実績がある弁護士や専門家と相談、議論をしてきた。まさに、ここで総務大臣に対し、電波法施行規則第44条2項が定める屋内において2~30MHzまでの周波数の搬送波により信号を送信し及び受信するPLCの型式指定をしてはならなぬ、という趣旨の行政裁判を起こすべきであると考える。
重大な影響、被害、損害が想定されるアマチュア無線局が中心となり、短波放送、航空無線、漁業無線、電波天文の関係者などをまきこんで国相手の行政訴訟を行うべきである。もとより、我が国の場合、国相手の「差し止め請求」や「取り消し請求」などの行政訴訟で勝つことは容易ではない。だが、大学や研究機関の第三者的専門家が繰り返し厳しく指摘されているように、今回のPLCの理不尽導入は安易な規制緩和によるものである。私達が甚大な影響や損害が想定されるのに、看過、泣き寝入りしてはならないと考える。
私自身、過去、数多くの環境公害裁判に証人や鑑定人などで関与してきたが、幸いPLC問題では科学的知見レベルで強い義憤を感じている研究者や技術者が多数いる。有能な弁護団と多くの仲間の支援を背景に、ぜひ行政訴訟を提起したいと考える!
なお、青山OMのサイトの「電波雑音を増やすPLC(高速電力線搬送通信)導入に異議申し立てる!」と言うコンテンツも、合わせてご覧下さいとの事です。
PLC訴訟の原告募集
アマチュア無線、短波放送、天文台などから多くの反対や懸念があるにも拘わらず、HF帯PLCが解禁されたことは全く残念でなりません。無線LANが一般化した現在、あんなもの普及しないと多可をくくる方もおられますが、技術開発によってはどのようことになるか分かりません。
JA1IDY青山氏のアドバイスで弁護士と話し合いを行いました、その結果、型式認定や個別免許を発行しないようにという差し止めの行政訴訟がいいだろうということになりました。まだ実害は出ていないですが、世に出ると大きな被害が生じる恐れがあるということで差し止めを求める訳です。青山氏によれば一昨年行政訴訟法が改正され、この種の訴訟がしやすくなり、勝てるチャンスも出てきたそうです。従来はまず殆どダメだったそうです。
今までは行政や審議会に向かって反対運動をしてきた訳ですが、彼等は聞く耳持たずで自分に都合の良い数値や意見を採用していきました。中立のはずの学者委員が実はPLC-Jの特別会員であったことを最近知りました。なぜ彼が執拗にPLCを無害で安全なものと主張したのかわかりました。訴訟になれば裁判長に向かって双方が意見を闘わし、判断を仰ぐことになります。闘う価値は大いにあります。
短波ユーザー全体にとって看過できないPLCなので、個人ではなく100人規模の集団訴訟にしようと思います。そこで既にリタイアされている方や仕事に差し支えの無い方に是非原告団に加わって頂きたいのです。原告になるといっても面倒なことはなく委任状一通出して頂くだけです。裁判所に行かなくてもかまいません。ただ訴訟経費の負担としてお一人1~2万円位をお願いすることになります。
訴状や判決文には原告として名前が記載されます。勝てば歴史的な訴訟になり、アマチュア無線界に貢献するという名誉を得られます。
原告に加わるのはちょっという方は、支援チームを作りますので、ご支援よろしくお願い致します。
10月中の提訴を目指して準備を始めていますので、「よし、原告になってPLCを阻止しよう!」という方は、至急筆者まで御問い合わせください。なお事務連絡の手間と経費の軽減のため、インターネットを利用出来る方に限らせていただきます。
E-MAIL:ja1elyあbb.mbn.or,jp(JH3YKV Amateur Radio News注:あを@に置き換えてください。また、原文では電話番号が掲載されていますが、当ニュースでは割愛させて頂きました)
TNX JA1ELY
10月24日追記:草野さんから、下記の情報を頂きましたので追記します。
皆様
おかげさまで10月24日現在で原告団参加希望者が83名に達しました。目標は100名ですが原告募集は10月31日で終了して、最終的な原告団を確定する予定です。
その後弁護士に着手金を払い正式に契約を結んでから、カンパの振り込み口座を公表して皆様のご支援をお願いする予定です。
原告になっても、裁判所に出向かなくてはならないという事はありません。次世代にノイズ公害をもたらすようなHF-PLCに断固反対する闘いに参加して頂けませんか。
よろしくお願い致します。
JA1ELY 草野利一